新聞記事 奈良の方より


痛々しい宮島のシカ


先日、旅行会社のツアーに参加して宮島の厳島神社に参拝した。

さすがに日本三景の一つとうたわれ、

世界遺産にも登録されている厳島神社は荘厳で美しく、

すがすがしい気持ちで参拝させていただいた。


その後、清盛神社にも参拝しようと向かう途中、

河原に小ジカを含めて二、三十頭のシカが足を投げ出して、

頭までべったりと地面につけて、うつろな目をして寝ていた。


よく見ると、すべてのシカが非常にやせており、

毛並みもまるで野良猫のように抜け落ちている。

肌も出している部分もあり、痛々しく感じていたら、

後ろから小学生の男の子が「あっ、あそこにシカが死んでいる」と叫びながら走ってき
た。

いつも元気にはね回っている奈良公園のシカを見慣れている私には一種異様な感じだ
った。

参道には「シカに餌を与えないでください」との掲示が至る所にあり、

地面はすべて石畳か砂利がひき詰められ、

草も生えておらず、「神使」であるシカたちの餌は一体、なんだろうか。

これでは動物虐待ではないかと思いながら船に乗った。


4月12日 中国新聞朝刊「広場」より






戻る
戻る